逆転の発想から生まれた青色発光ダイオード
サイエンス作家・竹内薫のノーベル賞プレイバック講義【第三回】
大発見は誰も探さない暗闇の中にあり
よく科学で言われるのは、真っ暗闇の公園で街灯があってその近くで指輪を落としました、その時にどこを探すかという話なんですよ。普通の人は光が当たっている街灯の下を探しますね、そこは眼に見えるから、見やすいから。でもそこには(発見は)ないんですよ。そこを探していたら見つからない。暗闇を探すしかないんですよ。
大きな発見をする科学者というのはその暗闇にキラッと光るものをちゃんと拾った人たちです。目のつけ所がちがうんです。みんな探している、みんなが集まっていて見やすいからといって探している場所にはないんですよ。
2016年度のノーベル医学生理学賞を受賞したオートファジーもそうです。「オートファジー」という言葉自体は1960年代からありました。ただ他の研究者達はタンパク質を作ることばかり研究していた。じゃあそれをどうやって分解するか。いらなくなったタンパク質をどうやって壊すのか。それを誰も研究していなかった。そこに突っ込んだ研究が大隅(良典)先生の独創性であり、オリジナルであるということで、ノーベル賞の単独受賞につながったんです。
極端に言えば流行にのって、すぐに役に立つことを研究してもだめなんです。役に立たないし、これまで誰もやったことがないこと。これをやるのが大発見をする科学者です。
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